配炭公団とは戦後、黒いダイヤといわれた石炭の配給をする公団として昭和22年3月に設立されましたが、出炭目標が達成された昭和24年9月、即ちこの試合の7ヵ月後には解散されました。
この配炭公団のメンバーは強力で、明治大の新島清や安武恒夫、藤、西郷、立教大の牧、浦田、さらに戦前・戦中の社会人最強チーム鮮鉄から富永、濱田が居ました。その他の部員も全員がラグビー経験者でした。
対する近鉄は同じく鮮鉄の柘植、樋口、日本大の大江、早稲田大の今村、立命出身で後年天理高校ラグビー部を立て直す坂本、東京大の前田などが居ましたが、レギュラーの半数はラグビーは近鉄で初めてという他競技経験者でした。
さらに2日前の1回戦では配炭公団は東北肥料の棄権で不戦勝、一方の近鉄はグランドコンディション最悪の中で関東の雄、東芝(東京芝浦)と接戦を演じ、近鉄選手の消耗度は大きく、大きなハンディキャップが近鉄にはありました。
そのような状況でも試合のほうは、近鉄の出足が良く先制トライを奪いました。
動きも結構良かったのですが、前半17分にスクラムハーフの大江がタックルで右足を痛めました。キープレーヤーの負傷の影響は大きく、その後、劣勢に回り、前半だけ4トライを奪われました。
試合後は両チームに縁のある知葉友雄氏(明治大OB、鮮鉄出身、日大監督、後の日本代表監督)の招待で、両チーム合同の打ち上げ会が催されました。
■第1回全国実業団大会本大会・決勝
日時: 昭和24年(1949年)2月27日(日)14時
会場: 東京ラグビー場
前半3-16 (近鉄100) (配炭220)*
後半0-41 (近鉄000) (配炭270)*
*()内の数字はT、G、PGの順、4桁の場合は最後がDG。
主審: 伊藤氏
近鉄メンバー
①黒田鎌雄(日新商)
②木下勝康(城東工)
③上辻喜之次(日新商)
④吉田喜一(不詳)
⑤服部正一(城東工)
⑥柘植平内(京城商、鮮鉄)
⑦前田哲郎(東京大)
⑧青山正弘(京一商)
⑨大江賀寿雄(日本大)
⑪中島悦三(浪華商)
⑫樋口政一(京城商、鮮鉄)
⑬今村宣彦(早稲田大)
⑭奥田精男(磯城農)
⑮大谷 明(海兵)
配炭公団メンバー
①西郷
②大塩
③藤島
④今井
⑤伊勢
⑥松村
⑦新島
⑧加勢田
⑨安武
⑩富永
⑪満田
⑫池田
⑬白水
⑭牧
⑮藤