第1回全国大会1回戦:近鉄14-0東芝 昭和24年(1949年)2月25日

 

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昭和24年(1949年)2月25日(金曜日)、記念すべき社会人チームの全国大会の第1回目、しかも最初の試合に近鉄が出場することになりました。
 
この大会は現在のトップリーグの前身である「全国社会人ラグビーフットボール大会」ですが、第1回から第4回までは「全国実業団ラグビーフットボール大会」として行われ、第5回から最後の第55回は「全国社会人ラグビーフットボール大会」として行われました。
 
さてこの第1回大会は東京ラグビー場(現秩父宮ラグビー場)で行われ、出場チームは、東北北海道代表の東北肥料、関東代表は東京芝浦電気東芝)で当時は東京府中ではなく神奈川の東芝、関西からは近鉄、九州代表は配炭公団でした。
 
しかし東北肥料が棄権したため配炭公団の1回戦は不戦勝でした。
 
従ってもうひとつの1回戦:近鉄東芝が記念すべき最初の試合となりました。
 
メンバーは次のとおり。
 
東芝には西海(早稲田大出)、中須(慶応大出)、岡本(学士)らFWに名手が居り、決して侮れない存在。
 
近鉄もバックスに大江、坂本、今村、樋口らが居り、試合前の予想ではFWの東芝、バックスの近鉄と思われました。
 
近鉄メンバー
①黒田鎌雄(日新商)
②木下勝康(城東工)
③上辻喜之次(日新商)
④吉田喜一(不詳)
服部正一(城東工)
⑥柘植平内(京城商、鮮鉄)
⑦前田哲郎(東京大)
⑧青山正弘(京一商)
⑨大江賀寿雄(日本大)
⑩坂本正治立命専門)
⑪中島悦三(浪華商)
⑫樋口政一(京城商、鮮鉄)
⑬今村宣彦(早稲田大)
⑭奥田精男(磯城農)
⑮大谷 明(海兵)
 
東芝メンバー
①関山
②山本
④深瀬
⑤田部井
⑥岡本
⑧西海
⑨森
⑩田辺
⑪今村
⑫宮脇
⑬小島
⑭松田
⑮大井
 
あいにくの前日の雨でグランド状態は悪く、さらに関西の近鉄にとっては霜柱の立つ慣れないグランドコンディションでした。
 
しかし近鉄は前半開始3分ルーズ(ラック)から出たボールを取りHB大江が抜け出し坂本、樋口と繋いで先制のトライ。
 
FW戦は予想に反し、近鉄FWが健闘しました。本来CTBの柘植をバックロー(FW第3列)にして展開力を、本来ロックの木下をフッカーに配しスクラムを制し、東芝の出鼻をくじきました。東芝はあわてて西海をフッカーにしてタイトスクラムを強化しました。その後試合が進むにつれて悪くなるグランドコンディションのなか、地の利のある東芝FWがじりじりと挽回し互角になってゆきました。
 
しかし前半終了間際、柘植の好フォローで1トライを追加して前半を8-0で終了。
 
東芝もよく攻めましたが近鉄デフェンスが良く、無得点で折り返しました。
 
後半も開始早々の2分に、東芝バックスのミスから近鉄がドリブルで引っ掛け、柘植がトライ。その後も1トライを追加して14-0で快勝しました。
 
東芝は後半9分に近鉄陣中央20ヤードでPGを得ましたがゴールならず無得点で敗れました。
 
翌日の新聞では近鉄FWの健闘と、バックスの好デフェンスとアタックが勝因と挙げられました。特にフランカー柘植とスクラムハーフ大江の攻守にわたる活躍が報じられました。
 
■第1回全国実業団大会本大会・一回戦
日時: 昭和24年(1949年)2月25日(金)13時
会場: 東京ラグビー
 
結果: 近鉄近畿日本鉄道) ○14-0 東芝
 前半8-0 (近鉄110) (東芝000)*
 後半6-0 (近鉄200) (東芝000)*
 *()内の数字はT、G、PGの順、4桁の場合は最後がDG。
 
主審: 川田氏