昭和5年の天理中学戦

昭和5年の天理中学戦
 
近鉄ライナーズ(近鉄ラグビー部)と天理高校とは旧制中学の昔から関係が非常に深く、昔は天理高校卒業後すぐに入社したり、或いは関東や関西の大学を卒業してから近鉄に入部するという形で多くの名選手と供給してくれました。
 
現在の前田隆介監督もそうですし、歴代数えきれないくらいの名選手が天理高校から来ています。
 
この天理高校の前身(旧制)天理中学のラグビー部の10年史「蹴球十年」という書籍に当時の対戦記録があり、その中に昭和5年(1930年)に大軌(大阪電気軌道近鉄の前身)との詳細な試合記録がありました。
 
昭和5年(1930年)9月28日(日)に花園での試合で、当時、天理中学は野口實主将、西村多蔵副将、土佐敏次らの時代です。
 
結果は26-8で天理中学の快勝。

流石にこの年度の全国中等学校大会(第13回大会、現在の高校大会)で準優勝するほどの強力チームでした。
 
以下、そのまま引用します:
(読み易いように改行や算用数字・現代漢字に変えています。天理側での戦記ですから味方が天理、敵が大軌です。)
 
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本校対大軌(花園にて)9月28日
 
前半、朝から曇り勝ちであったが、風無く絶好のコンディションであった。2時5分田下のキック・オフで試合開始。
初め両軍とも惜しいところでミスして、一進一退、11分、敵陣25ヤードのスクラム、味方ボールを得て渡邊よく抜き田中にパスしたが、ミスしてスクラム、此のボール味方に出て玉垣、田中と渡り、田中タッチに沿って走り、廻り込んでポスト直下にトライ、西村のゴール成る。
13分敵のドリブルをタッチ・ダウンに逃げ、此のドロップ・アウトのボール、味方FW得て、玉垣、田中と渡り、田中又タッチに沿うて走り、ポスト直下にトライ、西村のゴール成る。
13分、中央のスクラム、球味方に出でしを北田鮮やかな逆モーションにて右にパス・アウト、玉垣受けて抜き田中にパス、田中又々廻り込んでポスト下にトライ、西村ゴール成る。
23分敵ゴール前10ヤードのタッチ・サインよく定まり野口右隅にトライ。味方益々元気で竹内、宮西のドリブル物凄く、20ヤード進み密集となりしを、味方球を得、玉垣持って出てポスト直下にトライ、西村ゴール。
時にハーフタイム。(23-0)
 
後半、敵元気よく、味方を圧して、右ゴール前に迫りしも、味方再三、タッチ・ダウン、タッチ・キックに危うく逃げる。味方25ヤード線上のスクラムよりの球、渡邊キックしたるを敵取って走り、そのままトライ、ゴール成る。
10分。味方暫く元気をとりもどし、球を得て、バックに廻し敵陣25ヤード線上左に攻め入ってフリーキックを得、西村ゴールを狙いしもバーにあたって跳ねかえる。
15分的ゴール前10ヤード辺りのスクラムより、球を得、北田、竹内、もぐってトライ。
20分味方陣25ヤードタッチの球を敵サード・ロー取り、独走してトライ。
(後半本校3-8大軌)
 
得点 26-8 本校快勝
 
(天理中学メンバー)
FW宮西、脇田、中西、田下、西村、竹内、野口、土佐、HB北田、渡邊、TB松井、西村、玉垣、田中、FB仁尾
 
*大軌のメンバーは不詳
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昭和5年度の天理中学