6トライでトップリーグ入り&全国大会ベスト8へ

 
2003年(平成15年)1月2日、花園で行われた近鉄ヤマハ発動機戦は、近鉄ラグビー部(近鉄ライナーズ)にとっては深い意味のある試合でした。
 
2002年度の第55回全国社会人ラグビーフットボール大会を最後に、2003年度よりジャパンラグビートップリーグが発足するため、近鉄はもちろん他のチームにとっても、この第55回全国社会人大会は重要な大会となりました。
 
新設される第1回トップリーグは12チームで構成され、その出場権獲得の条件は、次のようなものでした:
(1)東日本・関西・西日本の社会人三地区のリーグ戦優勝チーム(サントリーヤマハ発動機サニックス)。
(2)第55回全国社会人大会の各予選プールでの1位・2位になった計8チーム。
(3)上記(1)の地域リーグ優勝チームが社会人大会予選プールで1~3位になった場合は、他のすべての予選プールの3位チームも出場権獲得。
(4)ただし上記(1)のチームのうち1チーム以上が予選プールで4位になった場合は、予選プール3位のチームが「出場決定戦」を行い、その順位のよって合計12チームのトップリーグ出場が決定する。

その予選プールは次のような組分けでした:
・プールB:ヤマハ、クボタ、近鉄九州電力
・プールC:ワールド、リコー、トヨタNEC
・プールD:東芝府中神戸製鋼、セコム、コカコーラ
 
第2節まで終了した段階で、(1)に該当する西日本リーグ優勝のサニックスが2敗していたので4位になる可能性があったため、つまり上記(4)の3位同士の出場決定戦が行われる可能性があったため、近鉄にとっては何としてもプールBで2位以上に入り翌年のトップリーグ創設のメンバーチームになりたいところでした。もちろん8度も優勝した全国社会人大会の最後の大会で予選リーグを勝ち抜き決勝トーナメントへ進出したい思いがありました。
 
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しかしこの予選プール、近鉄は第1節はクボタに24-49で破れ、第2節は九電に勝ったものの、最終節(第3節)でヤマハを破らねばなりませんでした。
 
しかも、その3日後にクボタが九電と対戦しますが、実力的にクボタ勝利の可能性がたたく、近鉄ヤマハに勝っても、近鉄ヤマハ・クボタが1勝1敗の三つ巴で1位~3位を分け合います。
 
この場合、3チーム同士の対戦でのトライ数により順位が決定します。(九電戦でのトライ数は含めません)
 
この段階でクボタは9トライ、ヤマハ5トライ、近鉄4トライでしたが、クボタは三つ巴の対戦は終了しておりこれ以上トライ数は増えません。従って、近鉄ヤマハ戦で6トライ以上の勝利ならばクボタを上回り、プールBの2位以上が確定するという状況でした。
 
対戦相手のヤマハは関西リーグで優勝しており、トップリーグへの出場権は獲得しているのですが、同じくプールB2位以上で決勝トーナメントへ出場したい思惑がある上に、近鉄は関西リーグでヤマハに終盤逆転され31-36で破れている強敵です。
 
そのような状況下で迎えた当日、花園での第一試合ではサニックス豊田織機に勝ち、近鉄は予選プール3位でもトップリーグ入りについてはほぼ決定しました。この日の第二試合で近鉄が6トライを取って勝ち、決勝トーナメントに出場できるかが焦点となりました。
 
試合は前半早々の2分にヤマハバックスのミスからマイボール、出たボールをSO吉村が敵陣インゴールへのパントをCTB大藪が押さえて先制、吉村のゴール成功して7-0。
 
しかし4分、近鉄陣22m付近のヤマハボールのスクラムからNO.8木曽、SH村田の突破でフェイズを重ねられゴール前まで迫られ、最後はバックスに回されてFB四宮にトライ(ゴール不成功)を奪われ、7-5と迫られます。
 
近鉄は2分後の6分にNO.8佐藤の突破からLO阿部のトライ(ゴール不成功)で12-5と引き離します。
 
15分には再びSO吉村のパントからLO阿部が二度目のトライ(吉村ゴール成功)で19-5。
 
28分にはLOキバルのトライ(吉村ゴール成功)で26-5。これで4トライ、目標の6トライまであと2本と迫ってハーフタイム。
 
しかし後半5分、近鉄ゴール前でのラインアウトからヤマハHO中林にトライ(堀川ゴール成功)を許し、26-12。
 
更に12分近鉄陣22mのラインアウトからゴール前まで攻め込まれ、FB四宮にトライ(堀川ゴール成功)を許し、26-19まで詰め寄られます。
 
しかし近鉄22分にラインアウト・モールからSH前田、SO吉村と繋いでトライ(ゴール不成功)、31-19とリードを広げるとともに、6トライまであと1本となりました。
 
そして迎えた37分、WTB栢本の突破から右サイドのWTB西尾に渡り、西尾はそのまま右タッチ際を疾走してインゴールへ、更に中央へ回り込み快心の6トライ目でトップリーグ入りを決定付けました。更に吉村がこの日4本目のコンバートを決めて38-19としました。
 
終了直前にヤマハNo.8木曽にトライ(堀川ゴール成功)を許し、38-26でノーサイドヤマハにとっては執念のトライで三つ巴でのトライ数を9としました。
 
3日後、クボタは九電を破り予想通り、近鉄ヤマハ・クボタが2勝1敗で並びましたが、トライ数が近鉄10、ヤマハ9、クボタ9で近鉄の1位が確定。トライ数で並んだヤマハとクボタは直接対決でヤマハが勝っているため、ヤマハの2位、クボタの3位が確定しました。
 
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■第55回全国社会人ラグビー大会・予選プール
日時: 平成15年(2003年)1月2日
会場: 花園
 
結果: 近鉄(近畿日本鉄道) ○38-26 ヤマハ発動機
 前半26-5  (近鉄430) (ヤマハ100)*
 後半12-21 (近鉄210) (ヤマハ330)*
 *()内の数字はT、G、PGの順、4桁の場合は最後がDG。
 
主審: 御領園昭彦氏
 
近鉄メンバー:FW(1)斉藤展士、(2)辻本 裕<前半8分一時交代→(16)若林文則>、(3)浜辺 和、(4)阿部浩之、(5)ベンファー・キバル<前半28分一時交代→(18)リオ・ファラニコ><後半28分入替→(18)リオ・ファラニコ>、(6)大谷久志、(7)中川和幸、(8)佐藤幹夫、HB(9)前田隆介、(10)吉村太一、TB(11)栢本和哉、(12)大薮 淳<後半38分入替→(22)藤坂将至>、(13)山崎明俊、(14)西尾忠弘、FB(15)フィリップ・ラヤシ、RES(16)若林文則、(17)神原雅也、(18)リオ・ファラニコ、(19)佐藤憲治、(20)橋本俊治、(21)小寺亮太、(22)藤坂将至
 
ヤマハメンバー:FW(1)高木重保<後半28分入替→(16)宮田博満>、(2)中林正一、(3)中越将通、(4)中野大介、(5)勝又貴光、(6)久保晃一、(7)本間俊治、(8)木曽 一、HB(9)村田 亙、(10)堀川隆延、TB(11)ワイサキ・ソトゥトゥ、(12)タンバイ・マットソン、(13)今利貞政、(14)西村 弥<後半18分交代→(21)長谷川 賢>、FB(15)四宮洋平<後半15分入替→(22)奥 亙>、RES(16)宮田博満、(17)下田高志、(18)忠地哲也、(19)ティム・ヘンショウ、(20)田井中亮範、(21)長谷川 賢、(22)奥 亙
 
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